【太極拳技解説9】玉女穿梭2

【太極拳技解説9】玉女穿梭2

※こちらの記事は過去に他のブログで作った
文章を転載しているため、記事作成の日付は
最後に記しています。

こんにちは。蓬「ミ」塾です。
今回も次回に引き続いて、もう少し、『玉女穿梭』(ギョクジョ・センサ)を
とりあげます。内神道では、技を演武する最初の方向、正面(起勢)を、
「北辰」と定めています。つまり、北極星の方向、「北」を向いて始めて
います。これは、磁石で確認した実際の方向ではなく、四方八方に技を
繰り出しますので、途中で方向を見誤らないために、まず、開始の正面を
「北」と考えて、下半身の向き、両手の向き、そして、目線の向き、つまり
「三尖照」の完成型をとりながら、前後左右に向く目安としているわけです。

『玉女穿梭』(ギョクジョ・センサ)は、内神道の技の中で、最も難しい
ワザの一つです。小架にも大架にもありますし、また、刀法にも
『玉女穿梭八方勢』をいう名で、このワザの特徴があらわせられてい
ます。ワザを繰り出します角度が、90度、270度と、正方向でなく、
隅方向、つまり、45度のスミ方向に、「三尖照」を取りますので、上級者
でも、軸をぶれない演武するのは大変と思います。逆に、そうであるから
こそ、このワザは練習のしがいのあるワザともいえるでしょう。

ワザを四方に繰り出す、第一手は「艮」(北東)、そして、第二手は、
右回りに270度転身して、「乾」(北西)、第三手はそこから90度方向、
「坤」(南西)へ足を踏みかえて出し、最後はまた、270度転身して、
「巽」(南東)に、右弓歩で完成させます。

方向を八卦で表しますと、山⇒天⇒地⇒風となります。なかなか、
この方位を理解することが難しいようですが、方位を口で唱えながら
この『玉女穿梭』を練習していただきますと、八卦の理解もできるのでは
ないかと思います。
例えば、旧江戸城、皇居に向いて、皇居前広場でこの『玉女穿梭』を
演武するとします。山手線の中央で行なうと考えてみましょう。

第一手は上野方向、寛永寺です。第二手は神田、新橋、新宿を見な
がらまわり、高田馬場、早稲田方向、乾(イヌイ・戌亥)門の先です。
第三手は、また、もどりながら、目黒、大崎、品川方向、芝増上寺です。
そして、第四手は、新宿、池袋、田端、上野を見ながら、東京、有楽町
あたりを見て、さらに、築地、晴海、辰巳の海を思い浮かべて終わり、と
いうことでしょうか。

まずは、お近くの公園で、夜、「北辰」を探していただき、ブランコや
滑り台、樹木の位置を方位と合わせて確認して、演武してみていた
だくことをおすすめいたします。

その際、『玉女穿梭』は八方からの敵に応戦する技ですが、公園に
出くわす、人や鳥や犬など生き物を方向確認の目安にはしないことが
肝心です。

〔ノ〕

2014.6.25