【太極拳技解説5】三盤四正

【太極拳技解説5】三盤四正

※こちらの記事は過去に他のブログで作った
文章を転載しているため、記事作成の日付は
最後に記しています。

~「三盤四正」について~

こんにちは。蓬「ミ」塾です。
前回、人間を他の動物と隔てている違いの
一つは「二足歩行」と述べさせていただき
ました。
「二足歩行」は
ゴリラやチンパンジーなど、類人猿と
いわれている動物にもみられますが、
かれらにはまだ、「四足歩行」も保障されて
います。しかし、ヒト族には生後1年くらいで、
四足から二足の生活習慣を獲得し、
エジプトの昔話ではありませんが、老いて
三つ足歩行になるまで、われわれは
「二足歩行」の生活をしなければなりませんね。

地球誕生が36億年前で、最初の生命体
とされているシアノバクテリアが30億年前に
誕生し、人類の祖先が他の哺乳類から分化し、
「二足歩行」を獲得したのは約700万年位
前といわれています。このことによって、
手が自由に使えるようになり、他の動物の
「エサ」になることから逃れ、他の動物を
「エサ」にできる生活習慣を獲得し、
脳頭蓋も大きくなり、知恵も発達して
きたということであるのでしょう。

さて?今ある「知恵」はどのくらい前に
獲得されたものなのでしょうか。
文化の発展、知識の深化といわれていても、
「知恵」の発達は原始の時代とあまり
変わりはないように思いますがいかがでしょうか。

余談ではありますが、「二足歩行」により、
地球重力に拮抗するという体型は、
まず骨盤が狭くならざるをえないということでした。

そのことにより、たとえば母体の骨盤が
狭くなりましたが、産道の方はあまり変化も
していないので、産まれる胎児は骨も柔らかく、
頭蓋も小さく、未熟な状態で産まれるといわ
れています。
四足動物などは産まれてすぐ、立ち上がり
歩行を始め、自分で哺乳をはじめます。
また、そうしなければ生存競争には適応
しないわけです。

しかし、人間の胎児は自分では何もできない
状態で産みおとされます。
母親が子供をまず抱きかかえなければお乳は
飲めないわけですね。
医学の発達は、「帝王切開」という「算」術、
いや、「産」術を産みだしました。
これはさらなる未熟児でも誕生が可能
という医学の成果ではあるでしょうが、
自分で哺乳もできない胎児か、羊水の中で
発育しすぎて、骨盤や産道を通過できない
状態での分娩や、また、産む側の都合で
誕生の日を決めるという知恵の発達にも
貢献?しているということでもあります。

さて、「二足歩行」を獲得したヒト族には、
脊柱や膝関節に不具合が発生するという
付随した問題をかかえることになりました。
「脊椎分離」症や「腰痛」症、また、
「膝関節」症がそれですね。

骨や関節ばかりでなく、筋肉やひいては
内臓の疾患までも、地球重力に逆らって
立つという生活の結果、それらの問題を
抱えざるを得ないわけです。

いまさら、「四足歩行」にもどるわけには
いきませんので、それら障害の出ない
身ノコナシが大切であるということは
いうまでもありませんね。
(具合が悪くなったら、四足歩行や
爬虫類や節足動物の動きで改善するという、
治療法もありますが・・・)

内神道太極拳では他の動物にはない、
知識や教養の詰まった、その「重い頭」を
いかに安定して、軽やかな生活習慣を獲得
するか、その課題の解決策として、
『三盤四正』という教えを説いています。

「三盤」は上盤、中盤、そして、下盤を
いいます。
上盤は頸部(首)から上の頭をのせ
支える水平ライン面です。
中盤は骨盤から上の上体がのるライン面で
下盤は股関節で腰をのせ支えるライン面と
ご理解ください。

「四正」とは、盤で区切られています、
頭、身、腰、股の四つの部分が正しい姿勢で
あることをいいます。ただ、何が正しい姿勢か、
また、どうすればその姿勢が取れるのかが
知りたいところであると思います。
それにはまず、頭から尾骨にかけて、
身体の中心をつらぬき、地球の中心と呼応する
一本の垂直線を意識します。
一般にいわれている『立身中正』とか、
内神道の教えである『尾閭中正』とかの
口伝がそれにあたります。

『中正』という文字はまさに、
身体の断ち方の形容、象形です。

「中」という字をイメージしてみてください。
また、「正」という字は、「一」と「止」から
組み合わされています。
「止」は「足」の象形文字ですので、
「正」とは、真っ直ぐな横線に両足をそろえて
立つという象形文字とも解釈されています。
また、「尾閭」とは、尾骶骨の先端の
意味もありますので、頭のてっぺんから、
尾骶骨の前をとおり、足の「湧泉」のツボ
(爪先と踵を結んだ線を三等分した、
爪先から三分の一の点)を結び、
そこから地球の中心に向かって、
真っ直ぐな線をイメージしていただくと、
まさに「中」という字ですね。

その線を中心として、今度は、頭部の
眉間と後頭隆起を結んだ円盤を意識します。
また、胸も両乳の乳頭と背中を結んだライン
の円盤を意識します。そして最後に、股関節を
結んだラインの円盤も意識してみてください。
身体の中に、上中下の三つの円盤と、
それをつらぬく一本の線をイメージして
いただきます。

「明鏡止水」という言葉がありますが、
三つの水盤がたえず連動して、
どんな身体の動きの際も、その表面は水盤に
張った水がこぼれることなく、穏やかな
状態に保っていること、
これが『三盤四正』の状態といえます。

いかがでしょうか。
この『三盤四正』ができてきますと、
独特の風格や美しさが生まれてきます。
それは、日々経験する感情の起伏の
激しさもコントロールできることにも
つながります。心の状態がそのままの姿
にも現れるものでありますので、落ち着いて、
安穏とした姿勢は、逆に、落ち着いて端正な
形と心を育ててくれると思います。

どなたも自分が胎児である時に、
羊水の中をプカリプカリと浮かんでいた
ことを覚えている方はいないでしょう。
また、自分の身体の中が水で満たされて
いるという感じもないと思います。
リキミや強ばらざるを得ない社会状況の中、
この『三盤四正』を考えながら、
今一度、水の惑星である地球の一粒の球体である
身体の感じをつかんでいただきたいと思います。

固い地べたを二本足で味わって
いただけるのも「二本足」を
獲得したヒト族にもたらされた
プレゼントとの思いをはせていただき、
あせらず、ゆっくりと
内なる自然の法則(内神道)を稽古してみてください。〔ノ〕

2015.2.11