【太極拳技解説4 】「精進」と「菩薩」

【太極拳技解説4 】「精進」と「菩薩」

※こちらの記事は過去に他のブログで作った
文章を転載しているため、記事作成の日付は
最後に記しています。

こんにちは。蓬「ミ」塾です。
毎年正月の3日、多聞内神道ではご宗家家元(※)、
長尾豊喜道長のおひざ元で、年始の幹部会が開かれます。
お節をいただき、その後、筑波山神社神殿に参拝し、一年の
武運長久、安全祈願のお祓いを拝受いたします。

筑波山の麓にあります筑波道場への、毎年恒例の年始の往還は、
交通事情にもよりますが、ほぼ、一日がかりのことになります。
しかし、この往復は年の初めの、気合のこもる稽古始めともいえます。

往きは、道長先生からどんなお言葉がいただけるのか、また、
幹部の皆さまにおかれましてもどんな新年のご抱負を語っていた
だけるのか、期待の思いであります。
また、帰りは、帰省帰りの交通渋滞で、往きの倍以上の時間を
費やすことになりますが、いただきました言葉の数々を反芻し、
さて、自分は今年、何を目標に稽古を深めようかと思いが
脳裏を駆け巡ります。そして、カーラジオからは、これも恒例の
NHK新春文芸投稿番組の俳句や川柳が流れてきます。これを
聴きながら、まずは安全運転と言い聞かせつつ、またさらに、
道場の深井戸からポリタンクにいただいた若水の跳ねる音を
聞きながら、アクセルを踏んで帰路に着くという次第であります。

さて、本年(※2015年)は
「精進」と「菩薩」の賀詞を拝受いたしました。
「精進」は文字通りです。「菩薩」は、
「呼吸菩薩」と「円襠菩薩」という解説があります。

空海大師が著された『般若心経秘鍵』の解説書、長尾豊喜道長著の
『般若心経秘鍵解説』(世界多聞内神道文化法人刊星雲社発売;
2012.3.21.)から、抜粋させていただきます。

「本流の『楊式太極拳』の奥義である『精気神心』と『連綿円合』とは、
『呼吸』と『円襠』の極意によって得るものです。
それが『老子経』の奥義を尽くしているのであります。
そこで空海大師の『菩薩』という悟った人を考えるならば、この
『楊式太極拳』という『老子の武道』の世界は、たった二人の悟った人、
菩薩によって伝えられたということになります。
つまり『円襠菩薩(えんとうぼさつ)』と『呼吸菩薩(こきゅうぼさつ)』がそれです。」
(上記書;P5)

人間を他の動物と隔てている違いの一つは「二足歩行」です。
この「二足歩行」が保証されないと、単なるイキモノ、「植物人間」と
称され、もう一つの人間の特徴であります「社会性」の欠如にもなり
ます。「寝たきり老人」として、自分の生死の境もわからず、その
生死は金銭のやり取りにも左右される次第となっていることが、
今や、あたりまえの状況となっています。

また、呼吸、循環、代謝などに関わる臓器が機能不全になり、
集中治療室(ICU)で、こと切れるという現況もあります。誰もが
そうなりたいとは思ってはいませんが、自分の健康を医者や薬に
任せるかぎり、その予備軍であることに変わりはないでしょう。
「デイケアセンタ―」や「グループホーム」、祭事場や墓場など、
「老い」にまつわる言葉が一過性のものでなく市民権を得ていますね。

「今でしょ!」

という言葉が、一昨年の流行語大賞だったと思いますが、今こそ、

「今でしょ!」

と、ご自身がご自分の身体の主人公になるためには、
是非とも、内神道を学び、深めていただければと思います。

『精進』とは、できることから始めて、それを繰り返し、繰り返し行い、
そして、続けることです。この簡単なことをしないで、すぐに成果を
求めたり、近道をあれこれ探すことに精をだすこと、このことへの
戒めが『精進』と考えます。

『円襠』への理解は、まず、片足で立つことから始めましょう。
そして、地球という球体と親和することを心がければ、逆に、
親和できない力んだ筋肉、関節、骨など、体を支えてくれている
身体の頑張りを発見できると思います。
そこへ、感謝の気持ちを入れていきましょう。
地球の中心を感じることができれば、自ずと、頑張りの部分が
ほぐれていき、緩みつつもしっかりした身体の節々を自覚できると
思います。

『円襠』は、何よりも地球に親和する形であることが理解される
ことでしょう。身体が喜んでいるという実感、これが大切です。

そして、まずそのチェックは、下腿筋、フクラハギや足の裏が
柔らかいかどうか、ということですので、ご確認願います。

あたりまえのことができなくなる、これを「老化」というのでしょうか。
それは、身体機能ばかりでなく、心や気持ち、つまり、「精神の老化」も
あると思います。その「老化」の予防はまず、「呼吸」や「二足歩行」を
もう一度点検していただくことからはじめていただきたいと思います。

そのためにも、前掲書や『老子の武道』、
『楊式太極拳』、『本流の楊式太極拳入門』など、道長宗家の
執筆された書籍を座右の書として親しんでいただけたらと存じます。

もちろん、太極拳を実践されたうえでのことです。いうまでもありませんが。

上記の長尾豊喜道長宗家の執筆された書籍は、当「ミ」塾でも
取り扱っていますので、是非、お買い求め願えればさいわいです。

『老子の武道』(4,210円)
『楊式太極拳』(2,160円)←こちらの書籍は現在絶版になっています
『般若心経秘鍵』(3,600円)
『本流の楊式太極拳入門』(1,390円)
以上

※「宗家家元」について。
太極拳の世界では、このような言葉を使うと、アレルギーを
起こされる方がいらっしゃると思います。しかし、武道や芸事の
世界では当たり前のことです。自由や平等という言葉の下に、
誰でもできる機会均等と「秘伝」の技が公開すべき、と民主主義や
共産主義の理念が、日本文化をズタズタにしてしまっていると考えます。

長尾豊喜道長先生は、一身を投げ打って、楊式太極拳の世界に
飛び込まれた方です。今も稽古をつけていただくたびに、
よくぞこの技藝をお伝えいただいたと感謝の念と、それを
自分のものにできない未熟さに愕然とする日々であります。

太極拳の世界では、「制定拳」という、中国共産党の施策により
普及した型式があり、これを太極拳と信じ、日々、稽古を重ねて
いらっしゃる方が大多数であります。中国人の老師と呼ばれる方を
師匠と仰ぎ、それなりに表演をされ、また、それを職業にしていらっ
しゃる方々も多数拝見いたします。

しかし、それらは、「太極拳的」運動であり、太極拳ではないのです。
楊式太極拳の道統でいえば、楊禄禅公の創始されたすべての技を
間違いなく受け継いできているのは誰かとういうことであります。
似て非なるものに惑わされないためにも、楊式太極拳の道統を
しっかりと受け継ぎ、日本において、「内神道」という武道を
創始された師を「宗家家元」と仰ぐことは、この道を修行の場として
いるものにとりましては当然のことと思うものであります。

2015.1.7